2016年6月26日日曜日

“キング・オブ・ロゼ”ドメーヌ・オット★より待望の新商品登場!

先日、フランス・プロヴァンスの老舗ワイナリー、ドメーヌ・オット★から
セールス・ディレクターのクリストフ・ルナール氏が来日。
スタッフ向けセミナーが行われました。




















↑オット★で働いて20年間というクリストフ・ルナールさん

ドメーヌ・オット★は、今からちょうど120年前
アルザス生まれのマルセル・オット氏が、
ワイン造りに最適な土地を探し求めて、
ようやく見つけたプロヴァンスの地ではじめたワイナリー。

以降、代々家族経営で優れたワインを造り続け、
2004年にはシャンパーニュの名門、ルイ・ロデレールとパートナーシップを結び、
現在は、四代目のクリスチャンとジャン・フランソワ・オット従兄弟が
ワイン造りを担っています。




















↑クリスチャン&ジャン・フランソワ・オット従兄弟


今回は数あるラインナップの中でも、
新商品「バイ・オット」のお披露目ということで
バイ・オットの誕生した理由を教えてくださいました。

バイ・オットの説明の前に、彼らのトップ・キュヴェである
クール・ド・ゲランシリーズについて説明しなくてはなりません。

彼らが所有する3つの銘醸畑、
シャトー・ロマサン、クロ・ミレイユ、シャトー・ド・セル
それぞれで造られているトップキュヴェのロゼが
“キング・オブ・ロゼ”と呼ばれるこのクール・ド・グレンシリーズ。


















2014年 バンドール・ロゼ・クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン
4,700 円 (5,076 円 税込)


100%自社畑のブドウを女性達が手摘みで収穫、
(なぜ女性?と質問すると、「男性よりきっちりブドウの選別をやってくれるから!」だそう・・)
それらは、さらに3回もの選別を経てようやくプレスされます。

そしてここからがオット★のキングたる秘密。
ロゼワインの多くがセニエ法でピンクの色を抽出するのに対し
オット★では、軽くプレスするだけ。
つまり、白ワインと同じ方法で造られるのです。
これは、白ワイン造りで知られるアルザス出身の創業者
マルセル・オット氏が考え出した方法なのだとか。

そしてもう一つこだわりが。
ここでは、全量の60%だけしかプレスされません。
残りの40%は他のワイナリーに売ってしまうそうです。
こんな贅沢な製法を採用しているのは、プロヴァンスでオット★だけだとか。

1番搾りの、さらに60%しか使わない、非常に贅沢な製法だからこそ
キング・オブ・ロゼと呼ばれる品質を保てるのですね。

最後に、別々に仕込まれた20ものキュヴェをブラインドでテイスティングして
トップキュヴェのブレンドを決定します。
ここでもさらに選別が行われ、最終的に使用されるのは全体の70~80%だけ。

実はこのブラインドテイスティングには、オット兄弟のほか、
天才醸造家と呼ばれるルイ・ロデレールのチーフワインメーカー
ジャン・バティスト・レカイヨン氏も毎年参加し、キュヴェを吟味するそうです。




















↑ルイ・ロデレールのチーフワインメーカー、ジャン・バティスト・レカイヨン氏


そしてこちらがすでに世界で大ヒットしているという待望の新作「バイ・オット」


















2015年 バイ・オット・ロゼ
3,000 円 (3,240 円 税込)

トップキュヴェの最終ブレンドでセレクトされなかった20~30%のキュヴェ、
そしてシャトー・ド・セルに新たに購入した自社畑のブドウが50%。
さらにブラインドテイスティングを経て買い付けたジュース
(といっても必ず古い付き合いのある生産者だけからしか買わないそうです)
を使って仕込んだワインが50%使用されています。

プロヴァンスには400近くのワイナリーがありますが、
そのほとんどはブドウを栽培して売る小規模生産者。
大手ワイナリーは24ほどで、こうした小規模生産者から買い付けることが多いそうです。
広い自社畑から生まれる高品質なワインが、オット★の名声を高めました。

実はオット★では、昨年シャトー・ド・セルに新しいワイナリーを新設し
これまで以上に多くのキュヴェを自分たちで仕込むことができるようになったそうです。

だからこそ、オットの名前を冠した
セカンドワイン的キュヴェの発売を決意したのだとか。






















2015年のバイ・オット・ロゼはとても淡いサーモンピンク色。
香りはとてもふくよかで、赤いチェリー、洋ナシ、白い花、蜜といった
可憐なアロマがグラスに広がります。

とても繊細でありながら上質なロゼらしい複雑味が感じられ、
キング・オブ・ロゼのエッセンスを存分に感じることができます。

クリストフ・ルナールさん曰く

 「これはリラックスタイムで飲むワインだよ!」

トップキュヴェのクール・ド・グレンは特別な日に飲みたいロゼですが、
このバイ・オットなら、しっかり冷やして休日のランチに気軽に楽しめそうです♪

2016年6月19日日曜日

酒歴70年!日本ワイン界の大御所が書く「快楽ワイン道」

本日は、つい先月、
日本ワイン界の長老、山本博さんが満を持して出版された本
「快楽ワイン道」をご紹介します。

























快楽ワイン道 / 山本博
講談社 定価 本体1,300円(税別)


~著者略歴~ 
1931年横浜市まれ。現役弁護士にして、日本ワイン界の大御所。
ワインに興味を持ったのは1940年代後半。69年に念願の渡仏を果たす。
以来、世界各地のワイナリーを訪ね、
英仏で出版されているワイン飲みにとっての「必読ワイン書」を多数翻訳。
日本におけるワイン知識の普及に大きな役割を果たした。
日本輸入ワイン協会会長。日本ワインを愛する会会長。
著書に『ワインの女王』『日本のワイン』(ともに早川書房)
『シャンパン物語』(柴田書店)『ワインの歴史』(河出書房新社)、
訳書に『新フランスワイン』(柴田書店)『ワインの王様』(早川書房)
『ブルゴーニュワイン』(河出書房新社)など多数。
※講談社HPより


日本ワイン界の重鎮ともいえる山本氏ですが
本書のおもしろさは何といっても
山本氏が、いち愛好家としての姿勢を徹底していること。

本業ではなく、趣味としてワインを楽しんでいるからこそ
ワインについて、言いたい放題ともいえる発言が俄然面白いのです。

例えば、「ロマネ・コンティよりラ・ターシュが好きだ」と言って
マダム・ルロワの逆鱗に触れたことや、
ドメーヌ・ルフレーヴで、ビオディナミとそうでないワインを飲み比べて
「そう違っているとは思えない」と言ってしまって出入り禁止になったり・・・
と、どんな相手にも正直な発言をしてしまうエピソードが痛快です。

そして山本氏のすごいところは、
日本でまともなワインが飲めなかった時代から
ご自身でワインに関する本を取り寄せて翻訳、
さらに「飲まずには語れない!」と、フランスをはじめ海外にせっせと足を運んで
様々な失敗を経ながらワインの味を覚えて行ったこと。

本書はワインが高級なお酒だった時代から現代までの
日本におけるワインの受容史としても興味深く、
何より、山本氏の好奇心とバイタリティに喝采を送りたくなります。

いち愛好家として、こんな風にワインを楽しんで歳を取りたいなあ・・・
と思わずにいられない名著。ワインラヴァーの皆さま、必読です!


2016年6月4日土曜日

文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」小説家・島本理生さん登場!

先日、第8回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
小説家の島本理生さんにゲストでお越しいただきました!




















ナビゲーターの山内宏泰さんから、
文学ワイン会にとてもふさわしいゲストとして紹介された島本理生さん。
ワインや日本酒が大好きでいらっしゃるそうです。

ご自身がお酒好きなことから、作品の中にもお酒がかなり登場します。

  「お酒を飲む場面は好きなので、毎回大体出てくるんですが、
  ワインを出すか、日本酒を出すかは作品によって結構分かれるところ。
  やはり同じお酒でもだいぶ作品の印象が変わるなというのを書いていて実感します。

  私の小説は、これから男女で何か起きるときってシャンパンかワインなんですよね。
  そこで日本酒を一升瓶で飲んでいたらちょっと違うかなと。笑
  やっぱり恋愛ってワインとすごく相性がいいなあと思うんです。」






















ご著書『あられもない祈り』ではシャンパンが、
『Red』では赤ワインが登場します。
小説に登場する料理やワインは登場人物の関係性が反映されているとのこと。

  「『Red』では私の趣味と全精力をかけて、
  小説の中にお酒とご飯の描写をふんだんに盛り込みました。
  途中から趣味のように料理の描写が続くんですけど。笑

  かなり気に入っている場面が後半にあって、
  ちょっと古いフレンチのお店で仔羊の塩焼きと一緒に
  赤ワインを飲む場面なんですけど、料理は牛でも豚でもなく、仔羊。
 
  真っ直ぐではないクセのあるふたりの関係性や、
  相手の男の人のイメージなどを考えながら選んでいます。」

小説に出てくるお酒や料理は、
島本さんの嗜好のみならず、
登場人物の性格や背景までをも考察して描かれたもの。
お酒や料理が出てきた理由を考えながら小説を読むのも楽しそうです。


この会でサービスしたワインは、
最新刊『イノセント』と『Red』、それぞれの小説のイメージに合う白と赤。
島本さんからのリクエストにお応えしたもので、
『イノセント』は、「ライチや花の香りがするような、辛口だけど華やかさのある白」を、
『Red』は、「飲んだときに煙る感じと甘味が両方あって、
時間が経つにつれて味が複雑に変化する、重めの赤ワインを」と
具体的なイメージをいただきました。

当日お出ししたのが下記のワインです。






















◆小説『イノセント』のイメージに合わせて…
ゲヴェルツトラミネール / エナーテ2015 白 税込2,808円






















◆小説『Red』のイメージに合わせて…
プリヴァーダ / ボデガ・ノートン2013 赤 税抜3,240円

最新刊『イノセント』は、島本さんの作品の中で、いちばん幸福な結末を迎えます。

 「障害がある恋が好きで、無意識にそういうものを書いているから、
  つい最近まで主人公と相手の男性がまともにつきあった小説すら
  書いていないことに気づきました。笑
  『イノセント』は、今まで本当に初めてぐらいのハッピーエンド。
  ここまではっきりちゃんと成就するって珍しいと思います。」

  




















『イノセント』(集英社)
定価1600円+税

最新長編小説。
一人の女性と二人の男性の出逢いが奏でる、
葛藤と悔恨、愛と救済をめぐる物語。


最後の質問コーナーでは、お客様から山のような質問が!
とくに印象に残ったのが、

 「作家とは何でしょうか?」

という質問へのお答え。

 「作家の役割は、私個人は決めつけないことだと思っています。
  同調圧力とかそういった大多数の力だけじゃない道を示すこと。
  できる限り決めつけないことで人を楽にするというか、
  何とも言えない感情を小説の中だけでは向き合えたりする、そういうものかなと。

  人が良いと言っていることも悪いと言っていることもどんどん分解して解体していく。
  人を自由にするのが作家の仕事かな、と思っています。」


















この会のため、ワインやお酒が出てくる小説やエッセイを
たくさん持ってこられた島本さん。
岡本太郎『芸術と青春』、江國香織『きらきらひかる』、
開高健『小説家のメニュー』、そして千早茜『男ともだち』。
それぞれについて解説や感想をお話いただきながら、
ワインが登場するシーンを朗読いただいたのは、なんとも贅沢なひとときでした!

ワインの魅力を文学と重ねた島本さんのお話は、まさにこの会ならでは。
率直に語られるエピソードの数々に、会場は何度も笑いの渦に包まれました。
ワインを飲みながら、島本さんの小説をまた読み返してみよう、
お薦めされた小説を読んでみよう、と思われたお客様も多いはず。
ワインと文学が絡み合う、刺激的な一夜となりました。