2017年1月31日火曜日

ペトリュスの名声を支えたレジェンド。偉大な30周年記念作と共に来日!

40年以上にわたってペトリュスの名声を支え、
さらにカリフォルニアでドミナス・エステートを立ち上げ成功させた、
ワイン界のレジェンド、クリスチャン・ムエックス氏。
30周年記念のドミナス最新ヴィンテージを引っ提げて来日しました!





















1946年生まれ、御年70歳のクリスチャン・ムエックス氏。
アートや、建築、文学に造詣の深い、
教養溢れるワインメーカーとして知られています。


クリスチャン氏は1970年から2008年までペトリュスをマネジメント。
兄が正式にペトリュスを相続した後も、2011年まではワインづくりを支えました。
そんな彼がドミナスを立ち上げたのは1982年。

実は1968年からカリフォルニアの名門・デイヴィス校で
ワイン造りを学んでいた時に魅せられたのが、
現在ドミナスが造られているナパヌックヴィンヤードでした。
彼はその時「この場所だ。私はここでワインを造るべきだ」と悟ったと言います。

クリスチャン氏は一度はフランス・ボルドーに帰国し、
ペトリュスをはじめとするファミリーのワイン造りに携わりますが
カリフォルニアワインへの情熱が忘れられず、
ジョイント・ベンチャーでドミナス・エステートを設立。
94年にはエステートを買収し単独所有となりました。


















今回お披露目されたのは、
ファーストヴィンテージから30年周年を記念して
リリースされた特別ラベルのドミナス。




























こちらは南アフリカの現代芸術家、
ウィリアム・ケントリッジ氏が手掛けた
クリスチャン氏のポートレイトがモチーフ。

実はクリスチャン・ムエックス氏には、
ボルドーのジャン・ピエール・ムエックス社で働く長男のエドアルド氏と、
南アフリカで獣医をしている長女のシャルロットさんがおり、
同国の画家が選ばれたのも偶然ではなさそうです。

ドミナスは、1983年~1990年までクリスチャン氏のポートレイトを
あしらったラベルでリリースされていた時期がありましたが、
クリスチャン氏は「ポートレイト入りはこの2013年が最後。」
と照れながら語っていました。


今回ドミナスのワイン造りについて伺った中で
特に興味深かったことが「ドライファーミング」について。

これは灌漑をしない、つまり水を与えない農法で、
これによってブドウの樹の根が地中深くに伸び、
「テロワールが味わえるワイン」が生まれるそうです。


【クリスチャン氏が手書きしたドライファーミングの図】
















(左)ドライファーミングをしたブドウの樹。地中の水を求めて3mほど根が伸びる。
(右)灌漑をした時の根。表面に撒かれた水を求めて根が上に伸びてしまう。






こちらが2013年のドミナス。






















※近日中に発売予定




クリスチャン氏はこの2013年のドミナスについて

「これまでの人生で手掛けたワインの中で、

 トップ10に入る偉大なワイン」


と表現。クリスチャン氏が手掛けたすべてのワイン、
つまり歴代のペトリュスもすべて含めて、
トップ10に入ると自信をみせる傑出した1本です。

濃厚で輝きのあるルビーレッド。
「黒いワインは造らない」というクリスチャン氏のポリシー通り
凝縮していながらも、透明感のある美しい色合いです。

クリスチャン氏が「エクスプロージョン=爆発」と表現する
インパクトのある鮮烈なフレーヴァー。
例年以上にマスキュリンな印象で、
日本文学好きのクリスチャン氏曰く、

「逞しくて男性的でヴァイオレント。まるで谷崎の文学だね。」

強烈な風味がいつまでも続く長大な余韻。
まさに30周年記念に相応しい偉大なワインです。


続いてこちらはセカンドワインのナパヌック。





















ナパヌック 2012年
10,000 円 (10,800 円 税込)
※2013年は近日中発売予定




ファーストと同じ、ナパヌックヴィンヤードから
とれたブドウを使用して造られます。

【クリスチャン氏が書いた畑の図解】



























畑には3~5%の傾斜がついていますが、
畑の上部(標高230m付近)に位置する区画の約2/3がドミナスに、
若木の1/3がナパヌックに使用されます。
畑の中腹は、1/3がドミナス、2/3がナパヌックに。
そして一番標高の低い畑のブドウが、サードであるオテロに回されます。

とは言っても「どの区画から収穫したブドウでもよいワインを造りたい」
との考えから、ワインごとに明確に区画を分けてはいないそうです。

試飲した2013年のナパヌックは、深みのあるダークレッドの色合い。
赤系果実と黒系果実が混ざりあったアロマが特徴的で、
凝縮感がありながらも、口当たりはとてもシルキー。

新樽率は20%と低めで、クリスチャン氏のすべてのワインに共通するように
樽の風味はほとんど感じず、豊かな果実の風味が口いっぱいに広がります。


アントニオ・ガローニ氏から
「ナパ・ヴァレーの中で最も素晴らしいスーパーセカンドワインの1つ。」
と賞賛される1本です。





最後に、サードワインのオテロをご紹介します。
























オテロ 2011年
4,800 円 (5,184 円 税込)

クリスチャン氏が書いた畑の図からもわかるように
ドミナスとナパヌックと同じ畑の別区画から収穫した
100%自社畑のブドウを使って造られるサードワインです。

実はこのワイン、エノテカが、

「日本人のために、和食にも合う、
 リッチ過ぎないカリフォルニアワインを造って欲しい。」 

とリクエストして生まれた、日本のためのワイン。
クリスチャン氏の奥様、シェリーズさんがデザインしたラベルには、
アルファベットの「O」が大きく配置されており、
これは日本の国旗である日の丸をイメージしているとか。

当初は日本だけで販売していましたが、
現在は世界各国で発売し、好評を博しているそうです。

2011年のセパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン100%。
深みのあるルビーレッド。赤系果実のアロマに清涼感のあるハーブ、
生き生きとしたジューシーな果実味と酸が感じられる
飲み心地のよい味わい。
カリフォルニアワインの頂点に立つ
ドミナスやナパヌックの片鱗がお得に味わえる1本です。


最後に、クリスチャン氏が考える偉大なワインとは?

「どんなシチュエーションにも、どんな食事にも合わせられるワイン。

 これはワインだけでなく、人間も言えるのでは?」


なるほど。

ちょっと哲学的な答えですが、
どんな相手にも謙虚に接するクリスチャン氏の人柄に触れて、
偉大なワインが生まれる秘密が少しだけわかりました。



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